50 年先の未来社会は、当たる当たらないは別にして、何とか想像の範囲内にありますが、100年先の未来社会がどうなっているのかは見当もつきません。人間そのものの本質は、ここ何千年とほとんど変わっていませんが、科学技術の進歩が著しく、これが人間社会の仕組みを変え、その結果人間の物の考え方や行動様式を変えてしまっています。石器時代の人間と、もし話をすることができたとしても、お互いに何を言っているのか、何を考えているのかほとんど分からないことでしょう。だから、千年先、二千年先の人間社会がどうなっているかなんてことは、想像の範囲をはるかに超えているのです。
 人間の欲は限りがありません。不老不死は人間の究極の欲望です。実現するのでしょうか。私は、遠い未来には人類が他の理由で滅びない限り、必ず実現すると思っています。人間が強く願ったことは、過去を見る限り、必ず実現してきているからです。鳥のように空を飛びたい、月世界に行きたい、という古代からの人間の願いは、もうすでに実現しています。たった 50 年前、てのひらに乗るコンピューターや、人工心臓、クローン人間、男女産み分け、体外受精等々、誰が実現すると思っていたでしょうか。携帯電話すら、当時では笑い話であったことでしょう。不老不死が荒唐無稽であるなんていえないと思うのです。
 だけど、いくら極楽とんぼの私でも、不老不死の話が現実味を帯びてくるのには、最低500年くらいはかかると思っています。だから、今の世に生きている私たちにとって不老不死は無縁のものなのです。だったらどうすればいいのでしょうか。とりあえず、私たちが目指すのは、遠くにある不老不死ではなく、近くにある遅老遅死であるべきだと思います。
  活性酸素の話は、この遅老遅死と多いに関係があるのです。次回をお楽しみに。
(2004年7月1日掲載記事)